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2019年02月

CP+2019

ブログの前記事が昨年のCP+って、どんだけかいてないねん!
ということで2019年のCP+いってみましょう。

CP+2019では各社とも新製品の展示ブースを拡張して、さほど並ばずに新製品に触れるようにしているのが大きな特徴です。そのあおりで技術的な資料の展示ブースが隅に追いやられ、筆者としては少々物足りなさもありました。ただ最低限の情報は得られたのでまずまずのCP+でした。

今回の目玉と思っていたのはやはりニコンのNoct 58mm F0.95、実写可能機ががようやく展示されていましたが筆者の興味はカットモデルの方。

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レンズがぎっしり詰まっていますね。惚れ惚れするほど美しいかたちです。鏡筒はオール金属なんですね。以前から公開されていたスケルトン図では、後部が空洞のように見えていましたが、実際には補正レンズ系が所狭しとと詰められています。前から4枚目までは多分全体として負の構成のレトロフォーカスタイプ。5枚目から12枚目までのダブルガウス型は初代のNoct nikkor 58mm F1.2を彷彿とさせますね。そして、12枚目の凸レンズと合わせガラスになっている13枚目の凹レンズ以降は補正レンズ系という構成に見えますね。また内部に空間がほとんどないのでインナーフォーカス式ではないと見える。後ろから4枚はマウント部分に固定されているように見えます。なので前から13枚目まで全体が前方に繰り出す前群繰り出し式か、よく見ると絞りから前部分が一体で、絞りから13枚目までが一体なので、ここは分割して動くのかもしれませんね。いずれれにしてもこの構造だとフォーカスが重すぎてAFレンズにできなかったというのも納得ですね。

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こうしてみると同じようにカットしてあってもレンズによって随分断面の色が違います。大きいけれど、とてつも無い魅力にあふれたレンズですね。

 

続いてキヤノンのブースにお伺いすると広報の新野さんとばったり。今年の一押しはEOS R、RPの両機で、これをセンターに据えた展開。交換レンズも第2弾が発表になりました。でも展示機をみるのはこれが初めてです。

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中段の6本が第二弾のレンズ群です。

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70-200mm F2.8はだいぶ短くなっていますね。先にF4モデルが欲しいという声もありますが、プロユース優先ということでしょうか。隣は15-35mm F2.8。大三元の広角ズーム。初のISが入ったからかこちらはそれほど小型軽量化されていません。

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大三元の中核、24-70mm F2.8。15-35mmとほぼ同じサイズでまとまっている。こちらも初めてIS機能が付きましたが、世の流れはボディ内手ぶれ補正の方向なので遅きに失した感があります。これをみると、キヤノンはボディ内手ぶれ補正はやらない方向でEOS Rシステムの開発をしていたことが明確ですね。でも将来、ボディ内とレンズ式が融合して補正効果8段とか10段とかの世界を実現できたら逆転につながるかもしれません。

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定番の85mm f1.2。AFの速度がどれくらいになっているか楽しみです。サイズ感からするとあまり変わっていないような感じもしますがどうなんでしょうか?右はDS(Deforcus Smoothing)タイプ。要はアポダイゼーションフィルターを入れて柔らかいボケのレンズになっているということです。ということはノーマルタイプの方はかなりシャープなレンズになっているのかもしれません。以前設計の早川さんにだめもとでアポダイゼーションフィルターの入ったレンズが欲しいといったことがあるのですが、キヤノンはやらないと思っていたので意外でした。

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人気が出そうな高倍率ズーム。これ一本で全部まかなえるというレンズ。こうなるとレンズメーカー製レンズに似てくるのがふしぎですね。

キヤノンの隣に大きな展示スペースを構えていたのが富士の展示ブース。ここで目立ったのはやはり1億画素モデルのGFX100でした。

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古くからテレビカメラ用レンズやシネレンズで有名ですが、やはりシネレンズもかっこいい。

フィルムの展示はなかったけれど銀塩写真という意味では唯一チェキの最新モデル「instax SQ20」が展示されていました。

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このカメラ、実は基本はデジカメであって、背面液晶で画面の確認ができて、インスタントフィルムに印刷するという実にユニークなハイブリッドカメラです。

こちらは従来型のアナログ式 instax。ところでインスタックスという名前、コダックのインスタマチックを思い出しますね。古---い。

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富士の次にふらっと立ち寄ったのがZeissのブース。以前はコシナさんと一緒だったと記憶していますが去年から別々の展示になったそう。

ドイツ人のセンスでフルサイズ・レンズ一体型カメラを作るとこうなるという製品。ドイツでは1950年代から60年台くらいにかけてVoigtlanderとかAgfaなんかがプロンターやコンパーのシャッターがついたレンズ固定式のコンパクト機をたくさん作っていて、これが幅130mm、高さ100mmくらいある。なのでドイツ人のコンパクトというのはこのカメラくらいのサイズなのだとあらためて感じます。日本人的にはSONYのRX1シリーズくらいのサイズがいいんですけどね。でもデザインがotusシリーズとかと共通していて一貫性があります。上面はシャッターダイヤルと感度ダイヤルとシャッターボタンのみ。あとは絞りリングだけでいいという構成。

 

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背面は液晶モニターのみ。タッチ操作前提なのでしょう。モニターの右端がボディのラインに合わせて曲がってます。

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こちらはコシナのブースで見かけたNOKTON 75mm F1.5。この焦点距離で明るいレンズは珍しいのでいいですね。

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続いて巨大なカメラ用品の総合商社と化しているケンコーさんのブース。まず目についたのは同社独自開発は初というストロボから。

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このストロボ。一見普通のストロボですが、バウンス機構がロボットみたいに自動で動いてバウンスの首振りの向きを調整してくれるんです。例えば、縦位置と横位置でカメラの向きを変える時、バウンスの向きを入れ替えるのは結構面倒ですが、このストロボだと自動でやってくれます。このほかにも電波シンクロも可能で、最新の機能はすべて備えています。値段はちょっと高めだけれどもなかなかユニークな製品。

続いて見えてきたのは、星夜写真のカブリを低減する光害カットフィルターの新製品。光害の原因となる特定の波長の光を吸収することで光害を低減するという仕組み。通常は撮影後にトーンカーブ調整などでカブリを押さえるのですが、このフィルターがあればその操作も楽になりますね。スターリーナイトなんてちょっとメルヘンなネーミングもいいですね。

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その横には、ワンタッチ着脱式のフィルターもお目見えしてました。昨年マンフロットのマグネットタイプを紹介しましたが、こちらはマグネットタイプでは脱落するシーンがあるということで、バヨネットタイプを採用しています。現状では指標がなく、取り付けがちょっとやりにくい感じでしたが、自分で指標をつけるなどすればなんとかなりそう。マグネットタイプは磁気の悪影響も心配なのでこちらの方が安心かもしれません。ただ、フィルター側のバヨネットの枠は後付け不可で専用のバヨネット式フィルターを新たに購入する必要があります。取り付け枠単体の販売はなくC-PLとND16のバヨネットフィルター2種と取り付けバヨネット枠のセットで平均4万円台と初期導入価格が結構します。基本セットを購入すれば、あとはバヨネットフィルター各種1万円台と通常のフィルターよりちょっと高めくらいで購入可能です。

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それからケンコーさんが販売元になっている韓国のサムヤン。元インプレスの斎藤さんがアドバイザーをやっていました。今回の目玉は、早くもキヤノンのRFマウントに対応してきたところ。MFレンズですが対応の早さに驚かされます。

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RFレンズの2本はサムヤンの売れ筋でもある14mm F2.8と85mmf1.4の2本。14mmは49,700円、85mmは39,700円と格安なのが魅力ですね。レンズと銘板が入れ替わってますね。

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それと新製品の10mm f3.5。大きく湾曲した前玉が印象的。こちらは少々値が張って133,700円。端数が700円なのは謎。他に一眼レフ用では35mm f1.2というあまり聞いたことがないすごいスペックのレンズもありました。ちなみにお値段は126,900円

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ケンコーブースのしんがりはホースマン。L字アームのところに懐かしのホースマンのマークがはいいってます。アームはちょっと華奢な気もしますが、全体の重量のバランスを考えてこうなっているのでしょうね。筆者もホースマンのカメラを持っていますが、重いのでこれくらいがいいです。アオリは±30mm、後枠は左右の微動、前枠はフォカスの微動が可能になっているそうです。

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次に立ち寄ったのはシグマさんのブース。今年は28mm f1.4くらいしか新製品がなかったので、ライカ・パナソニックとのLマウントアライアンスを前面に打ち出した展開でした。ということで恒例の新製品を持つ桑山さんのポートレートはなし。

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タムロンさんにも立ち寄りました。広報の青木さんをお見かけしましたが熱心にお客さんに説明されていたのでお声をお掛けできませんでした。今年のタムロンは新製品が目白押しです。こちらは一眼レフ用の35mm f1.4のレンズ。タムロンのお家芸的レンズと言えば高倍率ズームであって、これまで単焦点レンズは有名な90mmマクロなどマクロレンズが中心で、単焦点レンズはあまりリリースしてこなかったところがありましたが、新SPシリーズの立ち上げと同時に35mm F1.8、45mm F1.8の2本をリリースしてその後85mm F1.8もリリースしています。そこへ今回の35mm F1.4のリリースとはどういう意味か?一瞬理解に苦しみましたが、タムロンさんはたぶんシグマさんのように単焦点レンズのフルラインナップは考えておらず、35mm,45mm,85mmの3本で完成なのだと思います。で、1.8シリーズが出揃ったので次なる段階として、F1.4シリーズを展開する。そう考えれば今回の35mm F1.4は納得できます。次はおそらく45mm。そしていずれ85mmも出るのだと思います。VC(手ぶれ補正)は入っていませんが、これは画質優先なのだと思います。大いに期待できるレンズですね。

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次はフルサイズミラーレス機用大三元の広角側。17-28mmとあえて無理のないズーム比で画質重視できた。このクラスのレンズとしては小型軽量で、これも描写性が楽しみなレンズです。

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こちらはメーカーではポートレートズームと命名している高倍率ズーム。ポートレートでよく使う焦点域を網羅しているのでこの名称があるのでしょう。広角端はF2.8、望遠端でもF4なので大きなボケ効果も期待できます。ポートレート撮影の時、レンズ選びが結構難しいんですよね。とりあえず標準ズームと望遠ズーム、それと明るめの中望遠レンズなんて考えているうちにどんどん機材が増えてしまう。しかしこのレンズがあればこのレンズ一本で勝負するもよし、これに明るい単焦点レンズ一本追加すればそれで十分という気がします。なかなか他のメーカーにない目の付け所ですね。

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次はトミーテックさんのブースで見かけた望遠レンズ。狙撃銃型。結構こういうアイデアは昔からありますが、戦場に持って行くと真っ先にに攻撃されそう。

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次に珍しいレンズメーカーとしては「Irix」というメーカーの展示がありました。聞けばスイス発のレンズメーカーだそうですが、レンズにはMade in Koreaの文字が。多分あのメーカーのOEM品?沿革を見ると2016年に15mmの販売開始、その後2017年に11mm、2018年に150mmマクロとまだラインナップ3本の産声をあげたばかりのメーカーです。

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こちらが15mm。

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こちらは11mm。

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いずれも左側が金属鏡筒の高級モデルで、右側がプラスチック鏡筒の廉価モデルだそうです。ピントリングの前方側に細いリングが見えますが、これを左に回すとピントリングがロックされます。デザインはコシナやニコンに似ていますが独自性もあっておもしろいと思います。お値段は15mmの金属モデルが8万円代後半、プラスチックモデルで6万円代後半くらいのようです。11mmは15mmより少し高め、150mmマクロはちょっと高くて12万円代くらいになるようです。ジナーのお膝元スイス製なら飛びつくところですが、お値段は飛び上がるくらい(10倍?)になると思うので、まあこんなものかと。ちょっと試写した感じでは、韓国のあのメーカーのものとさほど変わらないような・・・。

 

最後にマウントアダプター類をいくつか。こちらはKiponのEF-Zアダプター。電子回路が入っているので、AFや絞りも連動できるようにするのでしょうね。Nikon F-EOS RFアダプターも見てみたい気がします。

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こちらはTECHARTから発売予定のNikon Zマウント機に、ソニーEマウントレンズを互換性を確保してつけようという、ほとんどアクロバットみたいなアダプターです。Zマウントのフランジバックは16mm、ソニーEマウントは18mmなので、その差2mmの間に双方の接点と電子回路まで内蔵しなければならないということで大変です。でも、写真のとおりちゃんと機能できているようでした。

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裏側を見ると回路が見えていますが、よくもまあこのスペースに。ピンの裏側がボディに当たらないかちょっと心配ですが、とりあえずは問題ないようでした。

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回路は思ったほど複雑でもなさそうですがやはりそれなりに。ピンは意外によくできていてちゃんとバネ式になっているようでした。

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全体に難しい説明はできるだけ省く方向で、ユーザーの利便性重視というコンセプトのメーカーが多く、情報収集が目的の筆者としてはそういう点でちょっと物足りなかったのが正直なところ。ユーザーを重視するのはいいと思いますが、もう少し技術的な説明も充実させて欲しかったと思います。また、昨年は出展していたけど、今回はなかったメーカーもちらほらあって、一抹の寂しさがあったりもしました。来年のオリンピックにかけてこれから色々と動きがありそうで楽しみな1年でもありますね。

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