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日本のカメラメーカー・終わりの始まり?

  • 2021/07/12 16:54

YONGNUOのアンドロイドベース・マイクロフォーザーズ機・YN455

https://www.43rumors.com/yongnuo-has-showcased-their-new-mft-camera-yn455-in-shanghai/

YONGNUO(永諾)は中国の写真用品メーカーで、日本のカメラメーカーのフラッシュのコピー商品をはじめ、最近ではキヤノンのEFレンズやニコンFマウントレンズのコピーも始めるなど、ここまで似ていては訴えられるのでは?と心配になるような製品を主とするメーカーだ。そのメーカーからついにYN455というアンドロイドベースのオリジナル・マイクロフォーサーズ一眼カメラが発表された。実はこれは同社のミラーレスの初号機ではなく、YN450というEFマウントのアンドロイド・ミラーレス機はすでに2019年に中国国内では発売済みで、今回はその第2弾。あらたにマイクロフォーサーズ規格のミラーレス機として登場したものだ。

 筆者は日本のカメラメーカーがスマートフォンの影響でデジカメの販売台数が落ちた頃、スマートフォンとデジタルカメラの連携ばかり考えているメーカーの開発者に、それは違う、スマートフォンのやり方を消費者が選んだのだから、カメラがスマートフォンと一体になればいいと言い続けてきた。つまり、カメラのOSをスマートフォンと同様のものにして、SNS、ブログなどに直接写真をアップロードしたり、コメントを書いたり、メールしたりできるようにしないと、いつかスマートフォンに完全に取って代わる日が来ると力説した。しかし、彼らは電波法うんぬんなどと理由をつけてそうしたデータ通信機能付きのカメラに関しては全く興味を示さなかった。まさにこのような固定観念がが今の日本の製造業を蝕む”日本病”だと、常々不満に感じていたが、それを実際の形にして見せたのはあのコピーしか作っていなかった中国メーカーだった。

 これは、中国のメーカーにとっては日本のカメラ業界に挑戦する小さな一歩かもしれないが、この方式がユーザーに受け入れられ、進化すれば、今のミラレス一眼カメラは早晩こうしたアンドロイドカメラに取って代わる日が来るかもしれない。

 実際には、電波法をクリアするため、各国で認証手続きをする必要があり、中国以外で販売にこぎつけるのは大変らしいが、そこはなんとか頑張って発売してほしいものである。また、カメラのUIというものは一朝一夕にできるものではないので、YN455がカメラ機能付きのスマートフォンの域を出ていないことは使うまでもなく明らかなのだが、こうしたカメラが将来的にカメラ的な使いやすいUIを手に入れた時を考えれば、こうしたカメラを必要とするユーザー層も少なからずいるに違いない。

 例えば先日リリースされたパナソニックのマイクロフォーサーズ機・LUMIX GH5IIはライブ配信機能が売りなのであるが、ライブ配信には少なくとも5Gスマートフォンとの組み合わせが必要なのが残念だった。ところが、GH5IIがもしスマホライクなOSと5G通信機能を備えていたら、一台単独でライブ配信が可能になるはずで、これはかなりカメラとしてのブレークスルー機能になった事だろう。

 5G通信はまだ始まったばかりで対応エリアがまだ限られるが、5G通信が普及し、6G通信が実現される頃、インターネットは無線方式で行うのが常識になっているかもしれない。その時代を睨めば、カメラには無線データ通信機能が備わっているのが常識になるだろう。そうなればさすがにSNSへの投稿はスマートフォンがないとできないということはないと思うが、今の日本のカメラメーカーがそこまで生き残っているかは未知数である。

 先日ライカが1インチカメラを備えたスマートフォン「LEITZ PHONE 1」を発表したが、日本メーカーのOEMだという。ならばなぜ日本のカメラメーカーはOEMで良いので独自のスマートフォンを出さないのか?全く理解できない。例えば、ニコンやキヤノンのブランドのスマホを出せばかなり売れると思う。自社のデジカメと競合を恐れているなら、もうとっくに負けていることを自覚すべきだ。

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