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写真のちょっと不安な近未来

画像生成AI「DALI-E」の初期画面

 

 

 

 

 

 

 

 

 OpenAIの画像生成AI「DALI-E」の初期画面 DALL·E (openai.com)

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-65308190
AI作成画像、有名写真コンテストで最優秀賞を獲得 作者は受賞辞退 - BBCニュース

作者本人へのインタビュー記事(翻訳版)
https://ridingthedragon-life.translate.goog/2023/04/16/boris-eldagsen-ai-sony-world-photography-award/?_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=wapp

 まずは上記のBBCニュースの記事を参照してほしいが、有名写真コンテストで最優秀賞に選ばれた二人の女性を写した画像が、実は画像生成系AIで作り出したもので、作者は受賞を辞退したというセンセーショナルなニュースだ。

 作者本人によると、当該コンテストの応募規定にはAI生成画像について特に何も書かれていなかったのでAI生成画像に対する準備ができていないと判断して、あえて応募してみたという。最優秀賞の受賞が決まった後、作品がAI生成画像であることを主催者側に告げ了解を得たが、写真賞をAI生成画像が受賞すると大騒ぎになるので、事前にこの作品がAI生成画像であることを主催者側から発表してほしいと申し出たが聞き入れられなかったと言い、作品がAI生成画像であることを公表せずに受賞プロセスが進められたことに疑問を抱いて作者は受賞を拒否したという。

 この出来事でのポイントの一つは、コンテストの審査員がこの作品がAI生成画像であることに気付いたか気が付かなかったかは別にして、優秀な写真作品として最高の評価を与えた事実だろう。これによりAI生成画像はすでに写真作品として十分評価に耐えるレベルにあることが立証されたとも言える。

 もう一つのポイントは、画像生成AIが作り出した画像の著作権はどこにあるのかというところ。作品を作った写真家なのか、画像生成AIを作ったプログラマーまたは運営会社なのか、画像生成の過程で参照した過去のだれかの写真画像にあるのか。

 コンテストの応募規定には、肖像権や他の著作物の権利侵害などがないことが規定されているが、AIが学習に使用した画像がもし他人の著作物であったとしたら問題はないのだろうか?

 文化庁によると、日本国内では現在著作物をAIに学習させるだけなら著作権者の許諾なく使用可能であるが、学習させたAIからの成果物を商用利用すると著作権侵害にあたる可能性があるそうで、この考え方の普及に努めていると言う。

 となると、少なくとも日本では、自分の作品だけを学習させたAIでない限り、AI生成画像をコンテストなどに応募するのはNGになるのではないだろうか?

 実際に海外ではある画像生成AIで明らかに参照されたと思われる絵画の原画作者が著作権を主張して、運営企業を訴える動きも出ていると聞く。イラストや絵画の場合は筆致や作画スタイルがあるのでそれを模倣されればわかりやすいので、これも必然の動きと思われる。

 一方、写真の場合は現実に存在する被写体が作品のソースになっているので、AIに学習されて模倣された場合、ソースとなった被写体の肖像権等は主張できたとしても、生成画像がコピーに近いものでない限り写真家が著作権を主張するのは難しいかもしれない。

 ここまで書いて、ふともう一つの画像生成法として3D画像データからのシミュレーション法を思い出した。これはカメラメーカーのレンズ設計者が、最近はレンズの描写性の画像シミュレーションソフトがよくできていて、レンズ設計の段階で実物と寸分違わぬ描写性で画質やボケのシミュレーションができると言っていたのを思い出したのだ。

 詳細は教えてもらえなかったが、おそらく3Dデジタイザかステレオ写真のようなものから被写体や背景の立体的な位置情報とその位置での色彩・輝度情報を3D画像データとして記録して、それが設計中のレンズ光学系を通過した時にどのように結像するかを計算するのだろう。

 この技術を用いれば、被写体と背景の3D画像データがあれば、どんな写真も自由に作ることができてしまうはずである。例えば人物が笑顔で立っている3D画像データがあったとして、観光地の背景の3Dデータ、そして光線状態のシミュレーターなどがあれば、容易にその人物が行ったこともない観光地での記念写真を生成できたりするだろう。言わばコンピュータグラフィクスの実写素材版のようなものである。

 筆者は当初、未来の写真の姿としてはこのような3D画像データから生成される写真画像が多くなると考えていた。世の中の全ての立体物や生命体等が3D画像データ化され、映画「マトリックス」の仮想空間のようにもう一つの日常とも言える仮想空間が再現され、座標とアングルや画角を指定すれば、意のままに所望する写真画像が生成可能になると考えたからである。

 しかし、今となっては単純に写真画像を得るという目的だけなら、AIによる画像生成の方がはるかに容易でローコストかつ手取り早く目的の画像が得られそうなので、そちらの進化の方が早いに違いない。

 いずれにしても、画像生成の技術は年々向上する一方だと思うので、こうして生成された画像と実際に撮影された写真をどう区別するのかというところがキモになってくる。

 例えば、写真の証拠性、ドキュメンタリー性を考えた場合、当然実写でない生成画像は排除されるべきであるが、クリエイティブな演出写真においては生成画像の活用は特に問題はないのではないだろうか。

 実写画像か生成画像か見分けがつかないとなると、現在活用されている防犯カメラやドライブレコーダーなどは証拠としては意味をなさなくなりそうだ。そうなると改ざんや偽装が不可能なタイムスタンプやウオーターマーク、NFTのようなものが撮影データに付記されるような仕組みが必要になるだろう。

 さらには、鑑賞者が希望する場合は真正写真と生成画像が見分けがつくように、何らかの目印をつける必要なども出てくるかもしれない。例えばニュース報道等でフェイク画像に一喜一憂するのは避けたいし、何かの写真を見た時真正写真なのか、生成画像なのかで見た時の印象はだいぶ変わってしまうと思う。

 例えばインスタグラムに投稿された写真がフェイク画像ということになれば、見る価値はほとんどなくなるのではないだろうか。

 写真コンテストでは生成画像以前にも、合成写真をどう扱うかという問題があり、合成・加工不可としている写真コンテストでは、当然生成画像も不可になるだろう。冒頭のニュースのコンテストのように表現方法に制限がない場合は、生成画像も応募可と明記するか生成画像専用のカテゴリーを設けるのも一つの方法だろう。

 発明されて以来「真」を写して来たはずの写真が、キーワードを入力するだけで簡単に作れてしまう時代、写真業界に与える影響は決して少なくないはずだ。何せカメラ要らずで写真が作れてしまうのだから。
 

B2クラウド、SATO サトウ L'esprit レスプリでうまく印刷できないトラブル

日常よく使うヤマト運輸のラベルを印刷するWEB上のソフトにB2クラウドというものがある。当初はInternetExprolerが推奨されていたが2022年6月15日のサポート終了に伴い半年前くらいから他のブラウザへの移行が推奨されていた。というわけで弊社でも移行してみたのだが、Edgeでは印刷できず、ChromeとFirefoxでは印刷可能なものの印字の位置やサイズがおかしかったり、文字がギザギザになる現象が起きてしまった。

 当初原因は、InternetExprolerの時は問題なく印刷できていたSATO Lesprit 412Vというサーマルプリンターを利用していることで、ヤマト運輸の推奨するOkabeのプリンターではないことかと思われたが、結論としてはそれが原因ではなかった。

 B2クラウドでは、印刷の不具合対策として印刷ツールなるものが用意されていて、B2クラウド上でインストールできる。まず印刷ツールをインストールして適用してみると、印字位置もおかしいが、印字全体が縮小された状態で印刷された。

 そこで、印刷ツールを設定解除して通常印刷モードで印刷すると二、三度ダイアログが表示されるが印字位置を調整して100%印刷をすればなんとか通常サイズで印刷はできるようになった。しかし、文字がギザギザに印刷されて綺麗でない。通常はデザリング設定をなしに設定にすれば綺麗になるのだが、プリンターの設定はなしになっている。プリンターの設定の細かなところまで色々と調整してみたが全く治らない。で、プリンターに渡される直前のダイアログのプロパティが開けたので見てみると、PDFを変換ソフトで変換したものをプリントしているようだ。ということはプリンターにビットマップ画像で渡している?としたらギザギザになるのは治らないはずだ。

 そこで通常印刷モードは諦め、ヤマト推奨の印刷ツールを再び設定して印刷すると印字は綺麗だが、やはりサイズが縮小されてしまう。ここで考えた。なぜ縮小されるのか?もしかしたら、用紙設定?と思いつき、SATO Lesprit 412Vのドライバーソフトを使って、新しい用紙設定を作ってみた。純正のOkabeのプリンターでは発払いのサーマルプリンター用紙が実際より大きい「HATU115.6x198.1mm」という設定になっているようなので、この通りの用紙サイズを新たに作った。以前はラベルの実寸サイズである112.0x177.5というサイズをカスタムで作っていたが、「HATU」のサイズに変更してみた。

 そうしたら、なんということでしょう。印字位置調整だけで全く正常に印刷できるようになった。Edgeで印刷できなかったのは用紙設定HATUがないためで、EdegeからでもChromeからでも問題なく印刷できるようになった。

 B2クラウドでサーマルプリンターを使う時のポイント

・B2クラウドの印刷ツールを設定

・用紙サイズ・HATU 115.6x198.1mm(印字可能範囲:104x198.1)の設定が必要

・デザリング設定:なし

日本のカメラメーカー・終わりの始まり?

YONGNUOのアンドロイドベース・マイクロフォーザーズ機・YN455

https://www.43rumors.com/yongnuo-has-showcased-their-new-mft-camera-yn455-in-shanghai/

YONGNUO(永諾)は中国の写真用品メーカーで、日本のカメラメーカーのフラッシュのコピー商品をはじめ、最近ではキヤノンのEFレンズやニコンFマウントレンズのコピーも始めるなど、ここまで似ていては訴えられるのでは?と心配になるような製品を主とするメーカーだ。そのメーカーからついにYN455というアンドロイドベースのオリジナル・マイクロフォーサーズ一眼カメラが発表された。実はこれは同社のミラーレスの初号機ではなく、YN450というEFマウントのアンドロイド・ミラーレス機はすでに2019年に中国国内では発売済みで、今回はその第2弾。あらたにマイクロフォーサーズ規格のミラーレス機として登場したものだ。

 筆者は日本のカメラメーカーがスマートフォンの影響でデジカメの販売台数が落ちた頃、スマートフォンとデジタルカメラの連携ばかり考えているメーカーの開発者に、それは違う、スマートフォンのやり方を消費者が選んだのだから、カメラがスマートフォンと一体になればいいと言い続けてきた。つまり、カメラのOSをスマートフォンと同様のものにして、SNS、ブログなどに直接写真をアップロードしたり、コメントを書いたり、メールしたりできるようにしないと、いつかスマートフォンに完全に取って代わる日が来ると力説した。しかし、彼らは電波法うんぬんなどと理由をつけてそうしたデータ通信機能付きのカメラに関しては全く興味を示さなかった。まさにこのような固定観念がが今の日本の製造業を蝕む”日本病”だと、常々不満に感じていたが、それを実際の形にして見せたのはあのコピーしか作っていなかった中国メーカーだった。

 これは、中国のメーカーにとっては日本のカメラ業界に挑戦する小さな一歩かもしれないが、この方式がユーザーに受け入れられ、進化すれば、今のミラレス一眼カメラは早晩こうしたアンドロイドカメラに取って代わる日が来るかもしれない。

 実際には、電波法をクリアするため、各国で認証手続きをする必要があり、中国以外で販売にこぎつけるのは大変らしいが、そこはなんとか頑張って発売してほしいものである。また、カメラのUIというものは一朝一夕にできるものではないので、YN455がカメラ機能付きのスマートフォンの域を出ていないことは使うまでもなく明らかなのだが、こうしたカメラが将来的にカメラ的な使いやすいUIを手に入れた時を考えれば、こうしたカメラを必要とするユーザー層も少なからずいるに違いない。

 例えば先日リリースされたパナソニックのマイクロフォーサーズ機・LUMIX GH5IIはライブ配信機能が売りなのであるが、ライブ配信には少なくとも5Gスマートフォンとの組み合わせが必要なのが残念だった。ところが、GH5IIがもしスマホライクなOSと5G通信機能を備えていたら、一台単独でライブ配信が可能になるはずで、これはかなりカメラとしてのブレークスルー機能になった事だろう。

 5G通信はまだ始まったばかりで対応エリアがまだ限られるが、5G通信が普及し、6G通信が実現される頃、インターネットは無線方式で行うのが常識になっているかもしれない。その時代を睨めば、カメラには無線データ通信機能が備わっているのが常識になるだろう。そうなればさすがにSNSへの投稿はスマートフォンがないとできないということはないと思うが、今の日本のカメラメーカーがそこまで生き残っているかは未知数である。

 先日ライカが1インチカメラを備えたスマートフォン「LEITZ PHONE 1」を発表したが、日本メーカーのOEMだという。ならばなぜ日本のカメラメーカーはOEMで良いので独自のスマートフォンを出さないのか?全く理解できない。例えば、ニコンやキヤノンのブランドのスマホを出せばかなり売れると思う。自社のデジカメと競合を恐れているなら、もうとっくに負けていることを自覚すべきだ。

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